退職した瞬間、いちばん最初にやってくる事務手続きが「健康保険」です。
私も60歳で退職して、共済組合からの「ご退職おめでとうございます、今後の保険についてのご案内」という分厚い封筒を受け取ったとき..正直、目が泳ぎました。
「任意継続にしますか、それとも国民健康保険に切り替えますか」。
聞かれてもピンと来ない。
選択期限は退職から20日以内。
調べる時間も少ない。
でも、ここで選ぶ保険によって、退職後2年間の保険料は数十万円単位で変わります。
今回は、実際に60歳で退職した元公務員の私が、自分で試算して悩んだ結論をそのままシェアします。
📌 この記事でわかること
- 退職後に選べる健康保険の3つの選択肢
- 任意継続と国民健康保険、どっちが安いかの考え方
- 元公務員が実際に出した結論と、迷いのポイント
- 申請期限を逃さないための具体的なスケジュール
退職後の健康保険、選択肢は実は3つある
退職する前は、健康保険なんて意識したこともなかったと思います。
私も25年以上、共済組合の保険証を使い続けて、給与から天引きされていることくらいしか把握していませんでした。
が、退職するとその当たり前が突然消えます。
選択肢は次の3つです。
多くの場合、③の被扶養者は年収条件(130万円未満等)でアウトになるので、現実的に検討するのは①と②です。
この記事では、その2つを掘り下げます。
任意継続のメリット・デメリット
共済組合の任意継続は、退職後も「組合員」として残る制度です。
使い慣れた保険証で、医療機関の窓口負担も同じ3割。
付加給付(独自の高額療養費上乗せ等)が残るケースも多く、給付内容は手厚いまま。
⭕ メリット
- 給付内容が在職時とほぼ同じ
- 扶養家族を一緒に加入可能
- 保険料が2年間ほぼ一定
- 付加給付が手厚いケースが多い
❌ デメリット
- 事業主負担がなくなるので「全額自己負担」
- 退職後20日以内に申請が必要
- 原則、途中で国保に乗り換えられない
- 最長2年間で必ず脱退
ポイントは「全額自己負担」の重さ。
在職時は雇用主と折半していた保険料を、退職後は全部自分で払う形になります。
イメージとしては、給与天引きで見ていた金額の約2倍になることが多いです。
国民健康保険のメリット・デメリット
もうひとつの選択肢が国民健康保険、いわゆる「国保」です。
住んでいる市区町村に申請して加入します。
⭕ メリット
- 所得が下がれば翌年度から保険料も下がる
- 2年で強制終了がない(生涯使える)
- 退職後14日以内に手続きすればOK
- 低所得者向けの減免制度がある
❌ デメリット
- 退職1年目は前年所得ベースで保険料が高い
- 扶養の概念がなく1人ずつ保険料が発生
- 共済の付加給付は使えなくなる
- 自治体によって計算式が違う
国保の最大の落とし穴は、退職直後の1年目は保険料がとんでもなく高くなることです。
前年(つまり現職時代)の所得をベースに計算されるので、退職して収入が無くなっても、お金は容赦なく請求されます。
私の場合の試算結果(具体的な数字)
抽象的な話だけだと判断が難しいので、私が実際に出した試算例をそのまま書きます。
あくまで一例として参考にしてください。
差は歴然です。
1年目は任意継続が約19万円安く、2年目は国保が約19万円安い。
同じ「退職」というイベントなのに、入る保険によってこれだけ違ってくるわけです。
💡 数字はあくまで一例
共済組合の標準報酬・自治体の保険料率・扶養家族の人数で結果は大きく変わります。お住まいの市区町村ホームページで「国民健康保険料 計算」を検索すれば、シミュレーターで概算できます。共済組合の任意継続保険料は、退職前に組合に問い合わせれば教えてもらえます。
1年目と2年目で「考え方を変える」のが正解
多くのサイトは「任意継続が得」または「国保が得」と二者択一で書いていますが、現場の感覚は違いました。
正解は「1年目は任意継続、2年目は国保に切り替え」のハイブリッド型です。
理由はシンプル。
1年目は前年所得が高いので、国保にすると爆発的に高い。
2年目以降は退職して所得が減るので、国保の保険料も下がる。
この「タイミングのズレ」を利用するのが王道の戦略です。
ただし注意点があります。
任意継続は原則として途中で脱退できない仕組みでした。
が、2022年1月の法改正で、任意継続から自己都合で国保へ切り替えるための「任意脱退」が可能になっています。
共済組合に「資格喪失届」を提出すれば、翌月から国保に切り替えられます。
つまり、1年目だけ任意継続にしておいて、2年目から国保に切り替える。
これが2026年現在、もっとも合理的な選択です。
申請期限を絶対に逃さない
退職した直後はバタバタします。
退職金の振込、年金の請求、住民税の通知、共済の脱退手続き..。
頭の中がいっぱいの中で、健康保険の申請期限は容赦なくやってきます。
任意継続の20日というのが、地味にキツい。
退職翌日から起算するので、退職日から数えてゴールデンウィークや盆休みを挟むと、あっという間に過ぎます。
退職を決めたら、退職日の1か月前までに共済組合に問い合わせて、書類一式を取り寄せておくのが鉄則です。
後悔しないために、退職前にやっておく3つのこと
私が振り返って「もっと早くやっておけばよかった」と思ったのが、次の3つです。
- 任意継続の保険料を共済組合に聞く:退職予定日と扶養人数を伝えれば、概算を教えてくれます。
- 市区町村の国保シミュレーターで試算する:「自治体名 国保 計算」で検索。退職翌年の所得を入れて比較。
- 退職する月の選び方も考える:年度末で辞めるか、年度途中で辞めるかで住民税・保険料の年間負担が変わります。
特に③は意外と知られていません。
1月〜5月退職は住民税が一括徴収になる、6月以降退職は分割徴収になる、といった違いがあります。
「いつ辞めるか」も含めて、お金の戦略の一部だと考えるべきでした。
まとめ:知って選ぶか、知らずに払うか
退職後の健康保険は、誰もが必ず通る関門です。
しかも選択肢を知らずに任意継続のまま2年過ごすと、私の試算例で言えば約38万円を多く払うことになります。
逆に、ちゃんと調べて「1年目は任意継続、2年目は国保」というハイブリッド戦略を取れば、その分はそのままご自身の老後資金として残ります。
毎月のNISA積立に置き換えると、数年分の積立に相当する金額です。
退職という大きなライフイベントは、お金のリテラシーが試される瞬間でもあります。
知って選ぶか、知らずに払うか。
その分かれ目を、後悔のない方に進めるよう、この記事が少しでもお役に立てば嬉しいです。
✅ 今日からできる行動まとめ
- 共済組合に電話して、任意継続の保険料を試算してもらう
- 市区町村ホームページで国保シミュレーターを試す
- 家族の中に被扶養者になれる人がいないかチェック
- 退職日が決まったら、その翌日からの14日/20日カレンダーを作る
- 退職前1か月に、必要書類一式を共済から取り寄せる
このブログでは、元公務員のリアルな視点でお金の話を書いています。
退職後の手続きは健康保険以外にもたくさんあります。
順番に記事にしていきますので、よかったらまた覗いてみてください。
現役公務員かっちゃんです。地方公務員として25年以上勤務しながら、40代で新NISAをスタート。「難しそう」「怖い」と感じていたお金の話を、公務員目線でわかりやすく解説します。老後資金・NISA・節約・ポイ活など、40代・50代の公務員が気になるテーマを本音でお届けします。